株主総会前の社内ドキュメント作成にドキュトーンを活用
情報確認フローの一元化で業務負担軽減に貢献
住友商事株式会社
生活・不動産業務部 業務企画チーム部長付 安達 真美氏(右)
生活・不動産業務部 業務企画チーム 青井 郁也氏(左)
金属事業や輸送機・建機事業、生活・不動産事業など多角的に事業を展開している住友商事株式会社では、現場の業務に合わせてサイボウズのkintoneを活用しており、生活・不動産事業部においても株主総会向けのQA問答作成やプレスリリース発表の応対シナリオづくりにkintoneを採用しています。今回、情報の出力形式として必要だったWord出力の要件に向けて、株式会社オプロが提供する帳票出力アプリ「ドキュトーン」を採用しました。その経緯について、生活・不動産業務部 業務企画チーム部長付 安達 真美氏および同チーム 青井 郁也氏にお話を伺いました。
- 【課題】株主総会のQA問答などWordで作成した社内ドキュメントのやり取りが100件を超え、更新漏れのリスクを危惧
- 【選定】最新の情報を管理できるkintoneからWordで出力できるドキュトーンを採用
- 【運用・評価】業務負担の軽減実現と、情シス担当者でなくても運用可能なシステムを評価
【課題】対外的な情報発信に必要なドキュメントづくり、関係者との調整が煩雑に
総合商社として、66カ国・地域に136拠点を展開するグローバルネットワークを駆使して多角的な事業を推進している住友商事株式会社。金属事業をはじめ、輸送機、建機事業やインフラ事業、メディア・デジタル事業、生活・不動産事業、資源・化学品事業の6事業を中心に、エネルギーイノベーションなど次世代事業にも積極的にビジネスを拡大。2019年に策定した"Enriching lives and the world"をコーポレートメッセージに、健全な事業活動を通じて、人々の暮らしをより豊かにするための事業に注力している。
そんな同社において、ライフスタイル・リテイル、食料、生活資材・不動産分野での事業を推進しているのが生活・不動産事業部門だ。消費者に近い領域でB to Cビジネスを中心に展開しており、食品スーパー、ドラッグストアなどのライフスタイル・リテイル事業や青果・食肉などの生鮮流通・加工事業 / 穀物・油脂、砂糖などの食品原料事業、建材、セメントなどの生活資材関連事業、そしてオフィスビル、商業施設、住宅、物流施設、不動産ファンドなどの不動産事業を手掛けている。これらの事業を業務面から支援している業務企画チームでは、業績管理や対外的な対応業務など、営業部門と全社的なコーポレート部門の間に立って事業を円滑に推進するための活動を行っている。全社的に展開するシステムとは別に、事業ごとのニーズに合わせた業務システムの整備なども手掛けており、現場の課題を解決する業務改善にも積極に取り組んでいる。
同チームにおいて課題となったのが、株主総会やプレスリリース応対など対外的に情報発信する際に欠かせないドキュメントづくりにおける煩雑な情報のやり取りだった。「例えば株主総会時に必要なQA問答などの内部向けのドキュメントづくりでは、3か月ほどの期間に100件を超えるWordベースのドキュメントを、コーポレート部門や同じ部門内の営業部門、そしてマネジメントなど複数の関係先とやり取りを繰り返し行っています。メールに添付する形でやり取りしていくため、version管理はしているものの、どれが最新の情報か瞬時に把握することができず、更新漏れなどのリスクがありました」と安達氏は当時の状況を振り返る。
【選定】業務基盤としてのkintoneに注目、業務上必須なWord出力に最適なドキュトーン
進捗管理を含めた情報を一元的に管理できる環境づくりに向けて、新たな情報管理基盤を模索することに。そこで目を付けたのが、サイボウズが提供するkintoneだった。「社内で新たな取り組みを共有する場があるのですが、その中でkintoneが紹介されていたのです。他部署で既に利用されている基盤だったこともあり、我々が抱える課題の解決にも利用できるのではと考えたのがきっかけです」と安達氏。
確かに進捗管理などに活用できるイメージは持っていたものの、最終的なドキュメントに関してはWordが基本となっていた。そのためkintone上で素案作成したものをWordファイルにうまく出力できる仕組みが必要不可欠だったという。「長年の慣習でWordでの確認が必須だったため、Wordでアウトプットできなければ意味がありません。最新の情報をきちんと管理できるkintoneに対して、その情報をWordで出力できるものがないか探していたのです」と安達氏は説明する。
そんな中で紹介を受けたのが、オプロが提供する帳票出力アプリ「ドキュトーン」だった。「kintone上の情報を出力できるソリューションをいくつか紹介いただきましたが、Wordで出力できるものとしてはドキュトーンが最適でした。他にもいくつかソリューションもありましたが、機能過多でコストが見合わない面も。ドキュトーンであれば、我々のイメージした費用感でWord出力が可能でした」と安達氏。
青井氏とともに実際にトライアルを実施したところ、十分使いこなせることがイメージできたという。「触れてみたところ、ITに詳しくない私でも簡単にWordへの出力可能なことが確認できました。システム部門の支援がなくとも十分使っていけると判断したのです」と青井氏は評価する。
結果として、情報管理の基盤にkintoneが、関係部門へのドキュメント作成にはWordでの出力を行うプラグインとしてドキュトーンが採用されることになった。
【運用・評価】Wordフォーマットへの出力が容易に、情報確認フロー一元化で業務負担軽減に貢献
現在は同チームを中心にQA問答を管理するためのアプリを作成し情報のやり取りが行われている。安達氏をはじめとした業務企画チームだけでなく、本部ごとの担当者も含め、20を超えるアカウントで運用を行っている。株主総会が開催される3か月ほど前からQA作成を進めている。「導入時は株主総会関連での利用が中心でしたが、今はホームページ上に展開する事業紹介のテキストをkintone上で管理し、ドキュトーンにてWord出力して各担当者に確認してもらうような運用も検討しています」と安達氏。
新たな基盤を整備したことで、メールのやり取りでは課題になっていた情報の更新状況が把握しやすくなり、確認のステータスも判断しやすくなるなど、心理的な負担が大きく軽減できているという。また今までは、Word上で編集作業をすると枠のズレや全角半角の調整など細かな部分のチューニングが発生していたが、ドキュトーンを活用することで微調整の負担が大きく軽減できていると評価も高い。「数値化できない効果も生まれています。出力方法に応じてベースのフォーマットが指定できるため、同じ形に一気に出力できるのは我々にとって画期的でした」と安達氏は評価する。また、メールにWordを添付する手間やPCに保存して修正しなおすようなちょっとした作業も不要になるなど、関係者含めてストレスなくドキュメントの修正作業が進められていると好評だ。
kintone上の項目とWordテンプレートの設定は基本的に安達氏が全て行っているが、情報システム担当者でなくても作り上げることができた点でハードルの低いシステムだと評価する。また、利用開始し軌道に乗るまで、その都度オプロに支援を要請することでうまく業務が進められているという。「テレワーク環境が進む今でも、オンライン上で支援していただけるなど、手厚いサポートに感謝しています」と安達氏。問い合わせについても、メールベースではなく問い合わせフォームから項目ごとに管理されており、時系列を追って対応状況が可視化しやすい点も評価の1つに挙げている。
オプロについては、同社に必要な用件に対して機能改修などを積極的に実施するなど、柔軟な対応力を高く評価する。「3か月ほどで100ほどのドキュメントを作成していますが、項目ごとに分割して改ページしたうえで出力したいといった要望など、当初なかった機能改善にも協力いただけました。kintoneが持っている装飾付きの文字を入力できるリッチエディターについても、Word出力する場合でもその装飾がきちんと反映できるようにしてもらうなど、我々の要件に柔軟に対応いただけています」と安達氏は説明する。
【今後】新たな出力要望に応えながら、さらなる応用に向けて組織的な体制づくりを推進
現在はWord出力がメインとなっている。しかしiPadを用いて、Excelベースで作成したPDFを確認したいという要望も出てきており、今後はWord以外の新たな出力方式にも展開していく計画だ。「今ドキュトーンを使っている業務はWordが中心ではありますが、Excel形式で出力が必要な場面もあるため、Excel形式でも出力可能なドキュトーンを使って対応していきたい」と安達氏。
Wordでの確認業務はほかにも存在しており、kintoneとドキュトーンによる情報管理基盤の活用はこれからも進めていきたいという。「私が担当している業績管理の部分は全社的な仕組みやシステムがあるものの、広報関連についてはコーポ―レート部門や営業部門との間に入って独自のやり方でやり取りする情報もあります。そういうところにも応用できる部分があれば活用していきたい」と青井氏。これから現場の業務を洗い出しながら活用できるシーンを検討していきたいという。
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