医療現場に必要な情報をデジタルで届け、医療コストの削減を支える
コロナ禍に起因する爆発的な事業拡大と組織の急成長にDX推進が貢献
(右から)経営基盤統括部 統括部長 業務執行役員 氏家 洋氏
経営基盤統括部 業務改善チーム 内藤 弓美子氏
「情報提供手段をデジタルによって最適化し、医療現場をアップデートする」というミッションのもと、製薬企業・医療機器メーカー向けにWeb講演会や資材制作などのサービスを展開するエムスリーデジタルコミュニケーションズ株式会社。エムスリーグループの一員である同社はグループのアセットを最大限に活かし、医療現場に必要な情報をタイムリーに届けている。同社はコロナ禍を機にDX推進を加速、オプロの「ドキュトーン」を導入した。「ドキュトーン」がどのように事業活動に活用されているかを経営基盤統括部の氏家氏と内藤氏に伺った。
- 【課題】医療業界と企業をつなぐ「ラストワンマイル」の架け橋を担う コロナ禍に急拡大したビジネスと組織を支えるDXが必要だった
- 【選定】PowerPointやWordに出力できる唯一のツール PDFだけじゃない選択肢が決め手
- 【運用・効果】脱・コピペ作業 一連のDX推進で30%の業務効率化を実現
- 【今後】自社のDXを加速することで、医療・製薬業界のDX推進に貢献
【課題】医療業界と企業をつなぐ「ラストワンマイル」の架け橋を担う コロナ禍に急拡大したビジネスと組織を支えるDXが必要だった
エムスリーグループであるエムスリーデジタルコミュニケーションズは、「情報提供手段をデジタルによって最適化し、医療現場をアップデートする」というミッションを掲げ、医療現場に必要な情報をタイムリーに届けるメディカルマーケティング支援サービスを展開。業界の一員としてDXの実現を目指し、医療関係者と企業との「ラストワンマイル」をつなぐ役割を担っている。
「エムスリーデジタルコミュニケーションズは、Web講演会の実施や講演会に付随するWebサイトや動画作成などのコンテンツクリエーションを手がけています。クライアントは主に製薬会社様で、事業展開に活用するWEB講演会や様々なコンテンツを作成・提供しています。」(氏家氏)
同社の事業が大きな転換期を迎えたのは2020年のコロナ禍だった。
「コロナ禍の行動制限で、これまで対面で行われていた製薬企業からドクターへの製品説明の機会が激減してしまいました。対面を前提としていた多くの業界で大きな打撃があった時期ですが、製薬業界も例外ではなく、オンライン技術を活用したWEB講演会のニーズが高まりました。」(氏家氏)
サービスの反響は大きく、事業運営においてエムスリーデジタルコミュニケーションズにも大きな変化があったという。当時の変化を内藤氏は次のように話してくださった。
「あの時期を経て売上がかなり伸び、対応する社員も約3倍になりました。一気に人が増え、組織や業務の在り方も含めて大きく変えていかなければいけないという局面だったと思います。」(内藤氏)
この時期を機に、同社は業務効率化を検討していくことになる。氏家氏と内藤氏が所属する経営基盤統括部の役割を伺った。
「経営基盤統括部自体は今年の4月に立ち上がった部門となります。前身はコーポレートプランニングという名称だったのですが、人事やファイナンス、業務改善、情報システム等バックオフィスが集約されています。今回お話しするDX推進は業務改善チームが担当しており、私と内藤の2名で業務にあたっています。」(氏家氏)
業務改善の取り組みは、氏家氏が同社に参画した2022年に遡る。
「コロナ禍の人員増や業務増からいろいろと試行錯誤してきたわけなんですが、私が入社した当時はGoogleスプレッドシートにいろいろと手を入れて運用していました。かなり駆使していたんですが、データが増えるにつれて項目数や行数が膨大になっていくわけです。このままではスケールできないということで、ツールを導入することになりました。」(氏家氏)
そこで同社が選んだツールがkintoneだった。選定の決め手は何だったのだろうか。
「Salesforceをはじめいくつかのツールを比較検討しましたが、フレキシビリティの点でkintoneが抜きん出ていました。コスト的な導入のしやすさもあり、kintoneを選びました。現在では全社で運用しており、アプリも500以上あります。」(氏家氏)
500を超えるアプリは基本的に氏家氏と内藤氏が作成している。ノーコードツールとはいえカスタマイズをするとなると難しい点も出てくる。内藤氏はもともと事務を担当されていたというが、基幹システムともいえる契約管理周りも手がけており、社内の業務改善の必要性に呼応して経験を重ね、短期間にスキルアップしてきたことが伺えた。kintoneをフル活用して業務改善を図ってきた同社が「ドキュトーン」の導入に至った背景はどのようなものだったのだろうか。
「Web講演会は案件ごとに進行台本を作成して、クライアント企業とご講演いただく先生が台本をもとに講演を行う形をとっています。この進行台本をこれまでは毎回PowerPointで作成していました。これをkintone内の情報からある程度自動生成したいと思って調べたのがきっかけですね。」(内藤氏)
【選定】PowerPointやWordに出力できる唯一のツール PDFだけじゃない選択肢が決め手
Web講演会の進行台本はPowerPointで16枚に渡り、あらかじめ設定しているひな形に案件ごとの情報を反映させる形となっている。
進行台本(イメージ)
「選定ポイントとしてはPowerPointに出力できることでした。PDFに出力できるツールは数多かったんですが、現行の進行台本を活かす上でPowerPointへの出力、また将来的にWordなどへの出力も考えると『ドキュトーン』一択に近かったですね。月5,000円から開始できるというコスト面でもスムーズに導入決定できました。」(氏家氏)
【運用・効果】脱・コピペ作業 一連のDX推進で30%の業務効率化を実現
「これまでは台本にクライアントやゲストの情報を一つ一つコピペしなければならなかったのが、ボタンを押すだけで必要情報が反映されるようになったのは非常に大きいです。人の名前や伝達事項にミスは許されませんから。また、我々としても今後寄せられる社内ユーザーからの要望に応えるツールを手に入れたというのは大きなメリットだと思っています。」(氏家氏)
「Web講演会の時に視聴レポートというものをお客様にお出しするんですが、これも抽出できるようになったのは大きな効率化だと感じています。」(内藤氏)
さらに、氏家氏からは全社的な効果をお話しいただいた。
「『ドキュトーン』単体の話ではないのですが、kintone導入以降の全社的な業務効率化は、計測した限り、だいたい30%でした。『ドキュトーン』の導入範囲においても同じくらいではないでしょうか。コピペ作業とそれに伴う確認作業の効率化ですね。実はこのシステムは『こぴらん』と呼んでいます。もうコピペしない、コピらん!から来ています。最初はみんな恥ずかしがっていましたが、今では定着していますよ。」(氏家氏)
社内での運用定着にネーミングが効果的なことは知られている。システムの性能が良いのは大前提だが、使って慣れて業務の一部として当たり前に存在するようにすることで、改善点も見えてくる。「こぴらん」というネーミングの定着はそれを体現しているといえるのではないか。
【今後】自社のDXを加速することで、医療・製薬業界のDX推進に貢献
最後に今後の展望や、オプロや製品への期待について伺った。
「弊社のDXに欠かせない存在になっているのは明らかです。今後はクライアントそれぞれに合わせたテンプレートが出力できる設定などにも対応していきたいと思います。」(氏家氏)
「Web講演会の開催に関わる手配など細かいサポートサービスも提供しているのですが、クライアントごとに使われているソフトが違ったりするのでそのあたりも柔軟に対応していけるようにしたいですね。」(内藤氏)
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